》と云《い》へるは、大納言隆国卿《だいなごんたかくにきやう》皐月《さつき》より葉月《はづき》まで平等院《びやうどうゐん》一切経《いつさいきやう》の山際《やまぎは》南泉坊《なんせんばう》に籠《こも》りたまひ、あふさきるさの者のはなし、高き賤《いや》しきを云《い》はず、話に従《したが》ひ大《おほ》きなる草紙《さうし》に書かれけり、貴《たつと》き事もあり、哀《あは》れなる事もあり、少しは空物語《そらものがたり》もあり、利口《りこう》なる事もありと前文《ぜんぶん》に記《しる》し置《お》かれたり、竹取物語《たけとりものがたり》、宇津保物語《うつぼものがたり》は噺《はなし》の父母《ちゝはゝ》にして、夫《それ》より下《しも》つ方《かた》に至《いた》りては、爺《ぢゞ》は山へ、婆《ばゞ》は川へ洗濯《せんたく》、桃《もゝ》の流れしと云《い》ふ事を始め、其咄《そのはなし》の種《たね》、夭々《よう/\》として其葉《そのは》秦々《しん/\》たり。されば竹に囀《さへづ》る舌切雀《したきりすゞめ》、月に住む兎《うさぎ》の手柄《てがら》、何《いづ》れか咄《はなし》に洩《もれ》ざらむ、力をも入れずして顋《おとがひ》のか
前へ 次へ
全12ページ中6ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング