も汽車《きしや》が出来《でき》たかえ、驚《おどろ》いたね。甲「へえゝどうも旦那《だんな》、誠に暫《しばら》く……。岩「いやア、アハヽヽこれは吉原《よしはら》の幇間《たいこもち》の民仲《みんちう》だね。民「へえ、どうも思《おも》ひ掛《がけ》ない処《ところ》で旦那《だんな》にお目にかゝつたぢやアないか。乙「へえ旦那《だんな》、誠に暫《しばら》く、どうも宜《よ》くお出《い》でなすツた。岩「なに宜《よ》くも来《こ》ない……こゝに川が有《あ》るね。民「これが有名《いうめい》な三|途川《づのかは》と云《い》ふので。岩「三|途川《づのかは》にしちやア橋が有《あ》るね。民「旧《もと》は渡《わたし》で対岸《むかう》に大きな柳の樹《き》が有《あ》つて、其処《そこ》に脱衣婆《ばあさん》が居《ゐ》て、亡者《まうじや》の衣服《きもの》をふん奪《ばい》て、六|道銭《だうせん》を取つて居《ゐ》ましたが、渡《わた》しはいけないといふ議論《ぎろん》がありました、それは水害《すゐがい》のためにもし船《ふね》が転覆《ひつくりか》へると蘇生《よみがへ》る亡者《やつ》が多いので、それでは折角《せつかく》開《ひら》けようといふ地
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