眠《ね》られると思つたら、眼《め》が覚《さ》めたやうだが……此《こ》んなぼんやりした処《ところ》へ来《き》た……遠くに電気燈《でんきとう》でも点《つ》いて居《ゐ》るのか知ら、プウと明るいよ……こりや歩ける……今までは両方《りやうはう》の手を持《もつ》て腰《こし》を抱《だ》いて貰《もら》はんと便所《ようば》へも行《い》けなかつたが……これは妙《めう》だ、歩ける……運動に出て来《き》たのか何《なん》だか分《わか》らん……おや向うへ女《をんな》が一人|行《ゆ》く、もし/\姉《ねえ》さん/\。女「はい。男「少々《せう/\》物《もの》が承《うけたま》はりたうございますが、此処《こゝ》は何処《どこ》ですね。女「此処《こゝ》は六|道《だう》の辻《つじ》でございますよ。男「え……それぢやア僕《ぼく》は死んだんだ、こりやア驚《おどろ》いた、六|道《だう》の辻《つじ》だとえ、昔《むかし》青山《あをやま》にさう云《い》ふ処《ところ》が有《あ》つたが、困つたね、僕《ぼく》は死んだのか知《し》らん……姉《ねえ》さん何《なん》でげすかえ、矢張《やつぱり》あなたは急病《きふびやう》かなんかで此処《こゝ》へお出《い》
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