それほど上手になったのア誰が仕込んだんだ、其の高言は他《ほか》へ行って吐くが宜《い》い、己の目からはまだ板挽《いたひき》の小僧だが、己を下手だと思うなら止せ、他《ひと》に対《むか》って己の弟子だというなよ」
長「さア、それだから京都へ修業に行くのだ、親方より上手な師匠を取る気だ」
恒「呆れた野郎だ、父《とっ》さん何うしよう」
兼「正気でいうのじゃアねえ」
清「気違《きちげえ》だろう、其様《そん》な奴に構うなよ」
兼「おい、兄い、どうしたんだ、本当に気でも違ったのか」
長「べらぼうめ、気が違ってたまるもんか、此様《こん》な下手な親方に附いていちゃア生涯《しょうげえ》仕事の上りッこがねえから、己の方から断るんだ」
清「長二、手前《てめえ》本当に其様なことをいうのか」
長「嘘を吐《つ》いたッて仕方がねえ、私《わっち》が京都で修業をして名人になッたって、己の弟子だと云わねえように縁切《えんきり》の書付《かきつけ》をおくんなせえ」
清「べらぼうめ、手前のような奴ア、再び弟子にしてくれろと云って来ても己の方からお断りだ」
長「書付を出さねえなら、此方《こっち》で書いて行こう」
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