の話じゃアねえか」
 兼「道理で訝《おか》しいと思った……困るな、つんぼ………エヽナニあの遠方へ急に旅立をすると、家主の所《とけ》え云置いて、何処へも沙汰なしに居なくなっちまッたんです」
 清「急に旅立をしたと、それにしても己の所《とけ》え何とか云いそうなもんだ、黙って行く所をもって見りゃア、何《なん》か済まねえ事でもしたんだろうが、彼奴《あいつ》に限っちゃア其様《そん》な事アあるめいに」
 と子供の時から丹誠をして教えあげ、名人と呼ばれるまでになって、親方を大切に思う長二の事ですから、清兵衛は養子の恒太郎よりも長二を可愛がりまして、五六日も顔を出しませんと直《すぐ》に案じて、小僧に様子を見せにやるという程でございますから、駈落同様の始末と聞いて清兵衞は顔色の変るまでに心配をいたして居ります。

        二十一

 恒太郎も力と頼む長二の事ですから、心配しながら兼松を呼びに来て見ると、養父が心配の最中でありますから、
 恒「兼、手前《てめえ》……長兄のことを父《とっ》さんに云ったな、云わねえでも宜《い》いに……父さん案じなくっても宜いよ、長二の居る処は直《すぐ》に知れるから」

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