して居りましたから、私《わたくし》の考えますには、其の事を長二郎に話しましたのを長二郎が訝《おか》しく暁《さと》って、無礼な事でも申しかけたのを幸兵衛に告げましたので、幸兵衛が立腹いたして、身分が身分でございますから、後《あと》で紛紜《いさくさ》の起らないように、出入留《でいりどめ》の手切金を夫婦で持ってまいったもんですから、此の事が世間へ知れては外聞にもなり、殊に恋のかなわない口惜紛《くやしまぎ》れに、両人を殺したんであろうかとも存じます」
奉「長二郎、此の帳面の通り其の方手間料を受取ったか而《そう》して柳が其の方へ嫁の口入《くにゅう》をいたしたか何うじゃ」
長「へい、よくは覚えませんが、其の位受取ったかも知れませんが、決して余計な物は貰やアしません、又嫁を貰えと云った事はありましたが、私《わたくし》が無礼なことを云いかけたなぞとは飛んでもない事でございます」
奉「それはそれで宜しいが、何故《なぜ》斯様に贔屓になる得意の恩人を殺したのじゃ、何ういう恨《うらみ》か有体に申せ」
長「別に恨というはございませんが、只あの夫婦を殺したくなりましたから殺したのでございます」
奉「黙れ
前へ
次へ
全165ページ中113ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング