る事は出来ません……何卒《どうぞ》只人を殺しました廉《かど》で御処刑《おしおき》をお願い申します」
 奉「幸兵衛手代萬助」
 萬「へい」
 奉「これなる長二郎は幸兵衛方へ出入《でいり》をいたしおった由じゃが、何か遺恨を挟《さしはさ》むような事はなかったか、何うじゃ」
 萬「へい、恐れながら申上げます、長二郎は指物屋でございますから、昨年の夏頃から度々《たび/″\》誂《あつら》え物をいたし、多分の手間代を払い、主人夫婦が格別贔屓にいたして、度々長二郎の宅へも参りました、其の夜死骸の側に五十両の金包が落ちて居りましたのをもって見ますと、長二郎が其の金を奪《と》ろうとして殺しまして、何かに慌てゝ金を奪らずに遁《に》げたものと考えます」
 奉「長二郎どうじゃ、左様《さよう》か」
 長「其の金は私《わたくし》が貰ったのを返したので、金なぞに目をくれるような私じゃアございません」
 奉「然《しか》らば何故に殺したのじゃ、其の方の為になる得意先の夫婦を殺すとは、何か仔細がなければ相成らん、有体《ありてい》に申せ」
 恒「恐れながら申上げます、長二は差上げました書面の通り、私《わたくし》親共の弟子でご
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