告被告と申します、双方の家主《いえぬし》五人組は勿論、関係の者一同がごた/\白洲へ這入ります。此の白洲の入口の戸を締切る音ががら/\ピシャーリッと凄《すさま》じく脳天に響けますので、大抵の者は仰天して怖くなりますから、嘘を吐《つ》くことが出来なくなって、有体《ありてい》に白状をいたすようになるという事でございます。今大勢の者が白洲へ呼込みになる混雑の中を推分《おしわ》けて、一人の男が御門内へ駈込んで、当番所の前へ平伏いたしました。此の男は長二でございます。

        二十六

 当番所には同心|一人《いちにん》と書役《かきやく》一人が詰めておりまして、
 同「何だ」
 長「へい、お訴えがございます」
 同「ならない」
 と叱りつけて、小者に門外《もんそと》へ逐出《おいだ》させました。この駈込訴訟と申しますものは、其の筋の手を経て出訴《しゅっそ》せいといって、三度までは逐返すのが御定法でございますから、長二も三度逐出されましたが、三度目に、此の訴訟をお採上《とりあ》げになりませんと私《わたくし》の一命に拘《かゝ》わりますと申したので、お採上げになって、直に松右衛門《まつえもん》の
前へ 次へ
全165ページ中107ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング