僕たちを愚弄して居《お》るな、なんだ胆《きも》を潰す薄暗い処へピョコと出て驚く、真人間をよこせ、五体|不具《かたわ》なる者を挨拶に出すべきものでない、退《さが》って普通《なみ》の人間を出せ、なんだ」
重「へえ五体|不具《ふぐ》、かたわ[#「かたわ」に傍点]と仰しゃるは甚だ失敬で、何処が不具《かたわ》で、足も二本手も二本眼も二つあります」
岡山「それで一つ眼なら全《まる》で化物だ、こんな山の中で猟人《かりゅうど》が居るから追掛けるぞ、そんな姿《なり》でピョコ/\やって来るな、亭主を呼べ」
重「亭主は前橋へ往って居りませんから私《わたくし》が代りに出たので」
岡山「じゃア家内が居るだろう、家内を呼べ……これ先刻《さっき》小峯に口をかけた処が、小峯は病気で出られぬと其の方が申した、其の小峯がどう云う理由《わけ》で向うの座敷へ参って居《お》るか、さアそれを聞こう」
重「えい、病気で居たのでございますが、旧来《ながらく》のお馴染で、お客様へ一寸《ちょっと》御挨拶と云うので参《めえ》ったので」
岡山「なに馴染だと、これ僕等は馴染でないから大病であるか、立聞はせんが誠に静かであれば、馴染の客であれば
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