貴方お屋敷と違ってね、それに殿様があゝ云う訳にお成りなすったから、何うすることも出来ませんで、思いがけないまた外に苦労がございまして」
由「これは妙でげす貴方、此方《こなた》は」
やま「はい此方さまは駿河台のソレ胸突坂に入らっしゃった殿様のお二方目《ふたかため》のお嬢さまでございます」

        二十八

幸「どうも思い掛けない、不思議な御縁付で」
やま「御縁付はまだお極りにはなりませんので」
岩「へ、まだ御婚礼は済まないので、誠に生涯お一人で暮したいなぞと心細い事を仰しゃるから、私《わたくし》がお附き申しては居りますが、そんならって御姉妹《ごきょうだい》でありますので、宅《うち》の方の極りが着けば何うでも斯うでも此方様《こなたさま》はお姉《あねえ》さまの事ですから、極りが着こうと思って、只今はお一方《ひとかた》で入らっしゃるので」
由「不思議でげすねえ……だから私《わたくし》が申したので、御様子が違うてえので……お屋敷はやはり駿河台の胸突坂で、旧幕時代二千五百石もお取り遊ばしたのでげす……違いますなア……え、お癪の起し振もどうも違います、二千五百石だけのお癪をお起しなさる……
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