貴方|種々《いろ/\》な事があって、申すにも申されぬことがございまして、小石川へお引込《ひっこみ》になって、何も彼《か》も御存じでありましょうが、此の節のお身の上、実においとしい事でございますが、お少さい時分御案内の通り彼《あ》の事が決りませんで、私《わたくし》が只一人でじゃ/\張ってお側にお附き申して居りますから、お心丈夫に入らっしゃいと申して、種々深い理由《わけ》があって今度は当地へ湯治が宜かろうと仰しゃるので、三週間のお暇を頂き、私もお蔭様で保養いたしますが、実にどうもねえ、貴方にお目に懸ろうとは思いませんでした」
やま「お嬉しゅうございますわ、私《わたくし》も此の橋本にお目に懸ったのですが、昔のことを仰しゃると面目次第もない、どうもねえ……娘《これ》が芸妓《げいしゃ》をして、娘は貴方それ七歳《なゝつ》の時に御覧なすった峰と申す娘で、誠にこれが芸妓をして私は誠にもう面目ない葭簀張《よしずっぱり》の茶見世を出して、お茶を売るまでに零落《おちぶ》れました、それから見ればお岩様なぞは此方様《こなたさま》のお側だから何も御不足はないので、まア/\結構でございます」
岩「はい実に苦労しても
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