衞さんがお出《い》でなすったから早くお目にかゝれと申して……また昨日は有難うございます」
幸「どう致して」
やま「あんなにお茶代を頂き済まないと申して、お茶代なぞ頂く了簡ではないと申して」
由「貴方そう思召しますからいけないのです、茶見世を出したら茶代は沢山《たんと》取る方が宜しゅうございます、料理屋なら料理を無闇に売るのが徳で、由兵衞なぞは莨入《たばこいれ》なら少々ぐらい破れて居ても売って仕舞います、それが商売で………これはお隣りの座敷においでの方で」
やま「おや何方様《どなたさま》も……」
女「誠に……おや思いがけない、お前やまじゃアないか」
やま「おやお嬢様……お岩さまがお供でございますか」
由「おや、これは/\御存じで」
やま「御存じだってお少《ちい》さい時分お乳を上げたのでございますもの」
幸「不思議でげすねえ、これはどうも、へえー」
やま「誠に御無沙汰申上げましたが、もう実にお見違い申すようにおなり遊ばして、只今ではお尋ね申すことも出来ませんで……左様で、小石川へ入らしったと承わりました……お岩様誠に貴方いつもお変りもなく」
岩「誠に久しくお目にかゝりませんで、つい/\ねえ
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