下様は御商法を始めて結構なお暮しでございましても、何処か以前のお癖がありますから、どうも御身代のお為に悪いそうでございまして、殿様育ちのお癖かお冗費《むだ》が立ちだすような事がありますから、商法なすっても思うようには儲けもないが、段々開けて来まして、皆《み》な殿様方も商法は御《ご》上手におなり遊ばしました。出が良いから品と云い応対と云い蓮葉《はすっぱ》な処《とこ》は少しもありません、落着いて居て、盃を一つ受けるにも整然《ちゃん》と正しいので、
幸「そう貴方お堅くなすってはいけません、どうか私どもはぞんざい者で、お屋敷様へお出入りをいたした者でも、町人の癖でおんもりとした事は云えないので……こんな饒舌《おしゃべり》も付いて居りますが、此の通りずぼら[#「ずぼら」に傍点]なことは云うが堅いことは云えませんから、お打解けなすって召上りまし」
由「今日《こんにち》は私は奥様の前は堅くやろうと思ったが、堅くやると云いそこない、漢語なぞを使おうとすると、時々変なことを云いますから、矢張《やっぱり》天保時代昔者でげすから、昔の言葉でなければいけません、殿様方もお戦《いくさ》に往って入らっしって命がけ
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