。年が未だ二十四と云う実に品の好《よ》い別嬪でござりまする。世間を余り見ない人と見えます。お附の女中はお岩と云って四十二三でございます。是は品の好《い》い訳で、出が宜しい。旧幕の折には駿河台|胸突坂《むねつきざか》に居まして、二千五百石頂戴致した小栗上野介《おぐりこうずけのすけ》と云う人の妾の子でござりまする。この小栗と申す人は米国《あめりか》へ洋行した初めで外国奉行を兼ね御勘定奉行で飛鳥《とぶとり》を落す程の勢い、其の人の娘で、私《わたくし》どもは深い事は心得ませんが、三倉《さんのくら》で小栗様は討たれ、又市《またいち》様と云う若殿様は上州高崎へ引取られ、大音龍太郎《おおおとりゅうたろう》と云う人のため故なく越度《おちど》もなきに断罪で、あとで調べて見ると斬らぬでも宜かったそうであります。飛んだ災難でございました。それから散々《ちり/″\》になって奥方は会津に落ちて、会津から上方へ落ちて、只今駿府にお在《い》でと聞きましたが、何う成行きましたか。此のお藤《ふじ》と申す婦人は小栗様の娘で、幼年の折|久留島《くるしま》様と云うお旗下へ御養女においでなすったお方で、維新になりましてからお旗
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