月見を成すっては如何《いかゞ》です、向山の玉兎庵《ぎょくとあん》てえので、御迷惑でございますか」
女「何ういたしまして、迷惑ではございませんが」
峰「由兵衞さんは大変喜んで居りますよ、坂をお手を曳いて歩くのは大変仕合せだって云って居ますが、手が硬《こわ》いと云って気を揉んで、種々《いろ/\》の物を付けて居りました」
女「御冗談ばっかり、そんなら明晩月見にお供をいたしても宜しゅうございますか」
峰「宜しいのなんて、入らっしゃい、それから四万へ入らっしゃいまし、旦那はねえ駕籠と云うが、由兵衞さんはポコ/\歩くかも知れねえ、此方《こちら》は遅れて渋川まで私の車で往って、渋川で車を一挺雇って貴方が乗って追っかけりゃア直《じき》で、一日で往《い》かれます、届けものがあれば当家《こちら》へ言付けて置けば堅《かて》え家《うち》で屹度届けます」
女「なんだかお別れ申すのが否《いや》ですから、じゃアそう云うことに願います」
峯「左様《そん》ならそうして入らっしゃいまし」
と妙な処《とこ》に幇間《おたいこ》を叩き、此方《こっち》も心淋しいから往《い》く了簡になりまして、是れから玉兎庵という料理屋へ参り、
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