》はとぼけて居て、あの方は本当に可笑しい方で、何《なん》か仰しゃって居るといつかお洒落になって居て、私は分りませんから御挨拶をすると、洒落に挨拶は驚くと仰しゃってねえ、皆《みん》な気が揃って面白いお方で、本当に親切な方ですねえ」
と噂をすればさす影の障子を明けて這入って来たのは車夫の峰松。
峰「先刻は」
岩「おや今お噂をして居りました」
峰「旦那が大変案じておいでなすって、それからお薬がお入用《いりよう》なら、もっと上げたい、お丸薬の良いのがあるから上げたいと申すので、なんなら持って参りましょうか」
岩「有難うございます、奥様ももう大丈夫で……まアお茶を一つ召上れ、まア此方《こちら》へ」
峰「有難うございます……これは結構なお菓子で……大変ですねえ、お宅から参るので、此方にはございません、伊香保饅頭は温《あった》かいうちは旨いが冷《ひえ》ると往生で、今坂《いまさか》なんざア食える訳のもんではありません……へえー藤村ので、東京《とうけい》から来るお菓子で、へえ」
岩「今日のは一つ目の越後屋のお菓子で、一つ召上れ」
峰「有難うございます……此方はお二人切りだからお淋しかろうって旦那が心配
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