払っても、百二十円も有れば治まりがつくと云うくらいのもので、藤本の方を綺麗に極りを附けて小瀧を連れて来ましたが、宅《うち》へ入れる事が出来ませんから、足利の栄町《さかえちょう》六十三番地に、ちょっとした空家《あきや》が有りましたから、これを借受け、飯事世帯《まゝごとしょたい》のように小瀧と二人で暮して居りましたが、小瀧は何か旨い物が喰《た》べたいとか、あゝいう物を織らして来てお呉んなさいと云う我まゝ気随でありますが、茂之助は宅へ往《い》く了簡もなく、差向いで酒を呑み、小瀧の爪弾《つめびき》を聞いて楽しんで居ります中《うち》に、商売を懶《なま》けて居るから借金に責められるが、持立ての女だから、見え張った事ばかり為《し》て居ります。
三
塩町《しおちょう》と云う処に、相模屋《さがみや》と[#「相模屋《さがみや》と」は底本では「相摸屋《さがみや》と」]云う料理茶屋が有ります。此家《これ》は彼地《あちら》では[#「彼地《あちら》では」は底本では「彼他《あちら》では」]一等の家でございます。或日《あるひ》のこと、桑原治平《くわばらじへい》と云う他所《よそ》へ反物を卸す渋川《
前へ
次へ
全281ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング