女「思うまいと思ってもそうは行くまいじゃないか」
岩「そうでございますが、其の替りには貴方|幾日《いくか》何十日お宅を明けて居らっしゃっても宜しいので、貴方のは気癪《きじゃく》でございますよ、それを癒《なお》さなければならないと旦那様が仰しゃって、私を附けて此処に幾日《いっか》何十日入らっしゃっても何とも御意遊ばさないじゃアありませんか、それで貴方どんな我儘を仰しゃっても、柳に受けて入らっしゃる、貴方はお仕合《しあわせ》じゃアありませんか、他家《よそ》には疳癪《かんしゃく》を起して、随分御新造様方を手込《てごみ》になさるお宅《うち》さえ有りますじゃアございませんか」
女「それは、御自分様に悪い事があるから、私へも優しく遊ばさなければお義理が悪いだろう」
岩「だけれども男は仕方がありませんよ」
女「それは男の働きで、偶《たま》に芸妓《げいしゃ》を買うか、お楽みに外妾《かこいめ》をなさるとも、何とも云やアしないけれども、旦那様ばかりは余りと思うのは、現在私の血を分けた妹《いもと》じゃアないか」
岩「それだから斯うやって長く居ても、何とも仰しゃらない、今年一杯居てもお小言は出ませんよ」

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