でに耻をかいて居《い》るぞ、畜生め、此の位の事は当然《あたりまえ》だ……松五郎は居るか」
と探したが他に人も居りません。
茂「松五郎は居ないか口惜《くやし》い」
とガタ/\慄《ふる》えながら血だらけの脇差を提げて探りながら、柄杓《ひしゃく》で水を一杯飲みました。
十八
茂之助が柄杓で水を飲んで居るうち、夕立も霽《は》れて忽《たちま》ちに雲が切れると、十七日の月影が在々《あり/\》と映《さ》します。
茂「畜生め、能くも己に耻をかゝせやアがったな」
と髻《たぶさ》を把《と》って引起し、窓から映します月影にて見ると、我が女房おくのでございますから茂之助は恟《びっく》りして、これは己の家《うち》じゃアないか知らんと四辺《あたり》をキョト/\見て死骸へ眼を着けると、おくのが子供を負《おぶ》ったなりに死んで居ります。あゝ、おさだ迄かと思うとペタ/\と臀餅《しりもち》を搗《つ》いて、ただ夢のような心持で、呆然《ぼんやり》として四辺を見まわし、頓《やが》て気が付いたと見えて、
茂「おくの……堪忍してくんねえよ……アヽ何うしてお前は此処へ来た……間違いだよ、お前を殺すのじゃア
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