々《ます/\》烈しくドッ/\と吹降《ふきぶり》に降出して来る。赤城の方から雷鳴《かみなり》がゴロ/\雷光《いなびかり》がピカ/\その降る中へ手拭でスットコ冠《かむ》りをした奧木茂之助は、裏と表の目釘を湿《しめ》して、逆《のぼ》せ上って人を殺そうと思うので眼も暗《くら》んで居《お》る。裏手へそっと忍んで来て見ると、ピカ/\とさし込む雷光に女の姿が見えたから、お瀧が彼処《あすこ》に居《お》ると心得、現在我が女房とも知らず、引抜いた一刀を持って飛掛かった。おくのは真暗闇に人が飛掛かったから驚き、
くの「何方《どなた》か」
 と云う声も雷鳴《らいめい》の烈しいので聞えません。素《もと》より逆せ上った茂之助ゆえ無慚にも我が女房おくのが負《おぶ》って居《お》る乳呑児の上から突通したから堪りません。おくのは
「アッ」
 といって倒れた。茂之助は乗っかゝって、
茂「此の悪党思い知ったか」
 と力に任して二ツ三ツ抉《こじ》りましたから、無慙にもおくのは、一歳《ひとつ》になるお定を負ったなり殺されました。
茂「あゝ……畜生め……あゝ能くも/\己に耻をかゝしたな、足利ばかりの耻ッかきじゃアねえぞ前橋の友達ま
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