困りやすから、どうかお願いで」
瀧「宜うございます、私が往って来ます……アノ明けッ放して置きますから、貴方《あんた》さん少し留守居をして下さい」
くの「はい、宜しゅうござります、お留守いたします、帰ってお茶でも上る様にお湯をかけて置きます」
瀧「じゃア私は一寸《ちょっと》往って来るから、アノ子供衆に乳でも呑まして緩《ゆっ》くりしておいでなさい」
と台所へ立って、ぶら提灯を提げて、福井町までは近い処でございますから出て往《ゆ》きました。すると秋の空の変り易く、ドードーッと一|迅《じん》吹いて来ます風が冷たい風、「夕立や風から先に濡れて来る」と云う雨気《あまけ》で、頓《やが》てポツリ/\とやッて来ました、日覆《ひよけ》になった葦簀《よしず》に雨が当るかと思ううちに、バラ/\と大粒が降って来ました。あゝ降出して来て困るだろうと思って居ると、ドーと吹込む風に灯取虫《あかりとり》でも来たか行灯《あんどう》の火を消して真暗《まっくら》になりましたから、おくのは手探りで火打箱は何処にあるかと台所へ探しに参った。其の頃はまだマッチは田舎では用いません、火口箱《ほくちばこ》を探しに参りますると、雨は益
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