んぺえ》でござります、そんだから苦労でござりますから、斯うやって此処《こけ》え参《めえ》ったのです、どうか軽躁《かるはずみ》な事をして参《めえ》るような事がござりましたら、松五郎さんも腹も立ちましょうけれども私《わし》や年寄子供に免じて下すって、私らを可愛相と思って、そこだけ御勘弁なすって……時経ってまた意見を致す事もござりますから、何うぞお願で、お瀧さん」
 と田舎|気質《かたぎ》の正直に手を突き、涙ぐんで頼むので、流石の悪婦も気の毒に思い、
瀧「まア私の一了簡にも往《ゆ》きませんから、福井町の店受《たなうけ》の処《とこ》へ往って松さんが遊んで居ますから、私は是から行って呼んで来ましょうから、松さんにお前さんが逢って頼んで下さい、ね、そうして相談ずくに致しましょう、私も気味が悪い、松さんは留守勝だから無闇な事をして刃物三昧でもされると困りますから」
くの「私《わたし》もお目にかゝって是非お頼み申しやすが、貴方《あんた》からも能くお話なすって……年寄も居りますが、私《わし》も機織奉公に参《めえ》りまして、それが縁になって嫁《かたづ》きましたのだから、誠に私《わし》が中へ這入《へえ》って
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