ない、お瀧松五郎の畜生を二人諸共殺そうと思って来たに、何うしてお前此処に居たのか、お前を殺そうと思ったのじゃアない……あゝ済まねえ、腹一杯苦労をさせて、お前を殺して済まねえ、己は罰《ばち》があたって此様《こん》な事になったのだ……あゝお前ばかり殺しやアしねえ……おくの確《しっ》かりして呉れ、おくの/\」
と呼ぶ声が耳へ這入ったか、我に回《かえ》って片手を漸々《よう/\》出して茂之助の手へ縋《すが》って、
くの「茂之助さん間違いだろうね」
茂「ウーム間違えだ、お瀧を殺そうと思ってお前を殺したのだ、堪忍してくれよ」
くの「はい然《そ》うだろうと思って……知って居りやす、私《わし》はもう迚《とて》も助からぬ、こんな事もあろうかと思ったから、私は此家《こけ》え間違の出来《でか》さねえように頼みに来ただけれども、最早仕様がねえが、おさだが可愛相だよ……お父さんの身を貴方《あんた》、心にかけて大切《でえじ》にしなんしよ」
茂「あゝ己も生きては居ない……堪忍してくれ、あゝ済まねえ事をした」
と云っている内におくのは絶命《ことき》れましたから、茂之助は只|呆然《ぼんやり》して暫く考えて居ましたが、
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