来ます。すると、誰でも遊びに来る時などには、宅《うち》に金瓶が八つに、ダイヤモンドが八十六も有るように大法螺《おおぼら》を吹きます。
茂「今度は何千反持って来て、何処《どこ》へ何百反置いて、此処へ何百反渡して金を何百円持って帰る」
 と云うように、大業《おおぎょう》な事を云うから、小瀧も此の茂之助を金の有る人と思いますと、容貌《こがら》も余り悪くはなし、年齢《とし》は三十三で温和《おとなし》やかな人ゆえ、此の人に縋《すが》り付けば私の身の上も何うか成るだろうと云うと、此方《こちら》は素《もと》より東京の芸妓《げいしゃ》と云うのを当込んで掛りましたのだから、ついした事から深く成り、現《うつゝ》を抜かして寝泊りを致しました事も度々《たび/\》なれども、茂之助の女房おくのは、苟且《かりそめ》にもいやな顔を為《し》ません。幾ら夫につらくされても更に気にも止めず、却《かえ》って夫の不始末をお父《とっ》さんに取成し、
くの「私はもとは此の家《うち》へ機織に雇われた奉公人を、斯《こ》うやって若旦那に添わして下さるとは冥加至極のこと、お父さんのお鑑識《めがね》にかない此の家の女房に成り子供まで出来まし
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