殺し、自分も腹を切って死ぬ決心故、是がもうおくのゝ顔の見納めかと、後《あと》を振返り/\脇差を腰に差して帰って往《ゆ》く後姿を見送って、
くの「はてな、彼《あ》の顔色は……うっかり脇差を渡したのは悪かったが、事に寄ったらお瀧さんを殺す心でも有りゃア為《し》ないか、私《わし》が猿田へ先へ往って此の由をお瀧に知らせようか」
と心配して居ります。斯《か》くとも知らず茂之助は猿田村の取付なる彼《か》の松五郎の掛茶屋へ斬り込むと云う、大間違になりまする処のお話でございます。
十五
えゝ、久しく上方へ参りまして大分御無沙汰を致しました。新聞にも僅か出しまして中絶いたしました霧隠伊香保湯煙のお話で、央《なかば》からお聴《きゝ》に入れまする事でございますが、細かい処《とこ》を申上げると、前々よりお読み遊ばしたお方は御退屈になりますから、直《すぐ》に続きを申上げます、足利の江川村で茂之助が女房に別れるとき、横浜へ行《ゆ》くからお父さんに内証《ないしょう》で脇差を持って来てくれと頼みました。これは恨み累《かさ》なるお瀧と松五郎を殺して、自分は腹でも切って死のうと云う無分別、七歳《な
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