べからず」
と何んだか訳の分らん事を云いながら無理遣りに押別《おしわ》けて、お瀧、松五郎の二人を自分の宅《うち》へ連れて参りました。
十
三八郎は再び茂之助の処へ来て、段々茂之助の胸を聞いて見ると、彼奴《あいつ》には愛想が尽きたから何処までも離縁をする気だが、身請の金を取返さんければならんと云い、おたきの方では手切を遣《よこ》せというので掛合が面倒に成り、終《つい》にはお瀧の方へ遣るような都合になりましたが、其の金が有りませんから、三八郎が茂之助の親奧木佐十郎の処へ参り、
三「えゝ御免を蒙ります」
くの「おや、おいでなさいまし……お父《とっ》さま、栄町の三八さまがおいでなさいましたよ」
佐「まア、此方《これ》へ、これは好《よ》うこそ、さア何うぞ此方《こっち》へ」
三「御免なさいまし……えゝ追々気候も相当致しまして自然|暑気《あつさ》が増します事で、かるが故に御壮健の処は確《しか》と承知致し罷《まか》りあれども、存外|寸間《すんかん》を得ず自然御無沙汰に相成りました」
佐「拙者方《てまえかた》よりも誠に御無沙汰……好うこそ、さア/\もっと此方《こっち》へ……貴方は
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