持だと思って来て見れば、矢張《やっぱ》り金は有りゃアしないんだアな、彼《あ》の時は有る振りをしていたから、此の人に取っ掴《つか》まって居たら、またお前さんに逢える時節も有ろうかと来て見ると、立派な女房も有るんだよ、是まで余《あんま》り道楽をしたとか云うので、実家《うち》へも帰られないので此様な汚ない空家を借りて世帯《しょたい》を持たして、爺むさいたッてお前さん茅葺《かやぶき》屋根から虫が落ちるだろうじゃアないか、本当に私を退《ひか》したって亭主振って、小憎らしいのだよ、此間《こないだ》の晩も種々《いろ/\》話したいことが有るんだけれども出来ないと云うのはね、茂之助が、寝て居て鼾は掻くが時々動いたりバタ/\したりして気味が悪いから、じっと我慢をして居たが、本当に松さん居難《いにく》いと思っておくれ、お前に逢って斯う云う訳に成ったら、茂之助が厭に成って何か彼奴《あいつ》に云われると、本当に身の毛立つほど厭なんだよ、併《しか》し大金を出して、私の身を請出してくれた恩が有るから、黙って居るけれども、実は厭なんだよ、私は半年でもお前さんと夫婦に成らなけりゃア置かないよ、若《も》し夫婦に成れなけれ
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