物三昧をするからア元は旗下の嬢様とかお附の女中とか、長刀《なぎなた》の一手《ひとて》ぐらいは知っても居ようが、高の知れた女の痩腕、汝等《うぬら》に斬られてたまるものか、今まで上手を使って居たが、こう云い出したからは己も男だ、□□□□□□□□□□□□□」
岩「どうも呆れた奴、手込《てごみ》にすれば許さんぞ」
峯「どうでもしやアがれ」
岩「どうでも」
 と合口を抜いて飛付くと、車夫の峰松はよけながら後《あと》へトン/\/\と下りると、後《うしろ》からズーッと出た奴は以前の車夫であります。これは渋川の杢《もく》八と云う奴で、元より峰松と馴合って居りますから脱《はず》したので、車を林の陰《かげ》に置き、先へ廻って忍んで居りましたがゴソ/″\と籔蔭《やぶかげ》から出て、突然お岩の髻《たぶさ》を把《と》って仰向《あおむけ》に引摺り倒しました。
岩「あれー何をする」
 と飛付いて参った時、これを見て驚きまして彼《か》のお藤は
「あれー」
 といって逃げにかゝる。
峯「逃がすものか」
 と飛付こうとするを見て、お藤は逃げるも真暗《まっくら》がり、思わず崖を蹈外《ふみはず》してガラ/″\/″\と五六丈も
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