と云う女中は顔色を変えて、
岩「な、何を云うのだえ」
峯「えゝ正直なお話でございますが、此方《こっち》ア高が車挽《くるまひき》で、元は天下のお旗下《はたもと》御身分のあるお嬢様に何うの斯うのと云ったって叶わねえ事と知っては居りやすがね、貴方も武士のお嬢さまで身性《みのじょう》の正しい女なら又諦めもつけやすけれども、橋本幸三郎と云う人に逢いてえと思えばこそ、夜道を掛けて四万村まで、此の物すごい山の中をお出でなさるからにゃア満更色気の無《ね》えお方でもごぜえやすめえ、□□□□□□□□□□、其の美くしいお嬢さまを□□□□□□□楽しみに此の山道を来たのです、□□□□□□□□□□□□□、もしお岩さん、取持っておくんなせえな」
岩「まア呆れた事をいう奴じゃ、女と侮《あなど》り身分も弁《わきま》えないで、仮令《たとい》御新造様はお弱くても私が付いて居るからは……汝《てまえ》たちに指でもさゝせる気遣い無い、兎やこうすると許さんから左様心得ろ」
 とて懐より把《と》り出したは、旧弊《きゅうへい》であります故小さい合口を隠し持って居ますから、柄へ手を掛けて懐から抜きにかゝると、
峯「ナニ何をしやアがる、刃
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