此処へ来い、御膳を食べさせると云うと整然《ちゃん》とお膳が出て居るので、御心配ない……此方《こっち》も感じてホロリと来ますねえ」
女「有難うございます、私《わたくし》は夢のような心持で」
由「旦那……お手水《ちょうず》ですか、直《じ》き突当って右の方です……だがね姉《ねえ》さん、彼《あ》の旦那様と云うものは御新造様が無いのですよ……アレサ実は御新造さんは三年|前《あと》に亡《なく》なってお独身《ひとり》でおいでだが、貴方|善《よ》いたって金満家でありますから、貴方がお出でなさるような事があればお母様ぐるみ引取って、生涯安楽でげすが、何うです」
女「其様《そん》な事は」
由「其様な事だって、それが肝腎なので、ウンと仰しゃい、男が好《よ》くって、ちょいと錆声で一中節が出来る、それで揉むのが上手でお灸を点《す》えたり何かするので……」
女「私は実に夢のようでございます」
由「夢見たいですが、是れがさめない夢です……後からまた夢が来るので……今夜はねえ何うかして此処へ入らっしゃいまし、寝就《ねつ》いた処へ私が周旋致しますから」
女「夜出ますと叱られます」
由「誰《たれ》に」
女「あの大屋さんに
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