文を貼って、アノお前も得心の上で証文は是れ/\で、金も五十円兄様に渡したから何んでもと申されますから、私も恟り致しまして、其様《そん》な事は出来ません身の上でございまして、老体の母もございますから、母に相談の上に致さんければなりませんと云って、十日のあいだに情を張りまして泣き明して居りました処が、此家《こゝ》の關善さんが日光からお帰りに宇都宮へお泊りで、段々様子をお聞きなすって、気の毒な事と御親切に五十円を貢《みつ》いで下すって、關善さんに連れられて参って、お手伝を致して居りますが、とても宿屋奉公では五十円と云うお金は返す事は出来ません、鈴木屋さんで人が足りないから御祝儀も貰えるし、そうしたが宜かろうと申されますが、關善さんと鈴木屋さんと両方で稼ぎを致しても五十円のお金では幾年此処に奉公をして居りましたら返せますか、承われば夏ばかり繁昌致しても、冬の中《うち》は遊んで居ると申しますから、中々お金の返しようもございません」
幸「それはどうも、で其の東京にお兄《あに》いさんが逃げてしまっても、お母様《っかさま》がお在《いで》なさるか、お母様はさぞお驚きで」
女「母はもう六十二になりまして、
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