れで宜しゅうございます」
由「これで宜しいたって、言いかけて止《や》めてはいけません、搆《かま》わないから後《あと》をお聞かせなさい是非……まアお坐りなさい」
幸「お気の毒なわけでねえ」
由「えゝ貴方、どう云う訳で」
幸「失礼ながら何んですか、お兄い様は矢張《やっぱり》士族様か、違ったお兄い様かえ」
女「いえ真実の兄でございます」
由「どうしてお妹御《いもとご》を宇都宮へ置去に、何ですか宿屋かえ」
女「いえ、私はさっぱり存じませんで居りましたが、往来の方から這入りませんで裏路《うらみち》から這入りますと、広い庭がございまして、それから庭伝いに座敷へ通りまして、立派な席へ参って居ります中《うち》に、アノ表の方へ参って掛合を致して、私をソノ或処《あるところ》へ、なんで、質入れに致してお金を沢山借りて、兄は表から逃亡《だしぬけ》を致したのでございます」
由「こりゃアどうも酷うごすね、貴方を質に入《いれ》て流す気ですね、酷いこと」
幸「どうも酷い事をしたものですねえ、そりゃアまア貴方も恟《びっく》りなすったろう、後《あと》で勝手も知れず」
女「段々聞きますと宇都宮で娼妓《つとめ》をするだけの証
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