でも、東京は違いはしませんか、観音様は矢張|彼処《あすこ》にありますかッて聞いた人がありましたが、あれだね、どうも妙なもので、此処は旅で、旅で会うのは親類で無くっても落合うと親類のような気がして、懐かしいもので、変なもので、伊香保なんぞへ往《い》って居ると交際《つきあい》が殖《ふえ》る、帰って見ると先達《せんだっ》ては伊香保でと云うので、麻布《あざぶ》の人が品川《しながわ》、品川の人が根岸《ねぎし》へ来て段々縁が繋《つな》がり、お前さんの処へ娘を上げましょう養子に上げましょうなどと云って、親類がこんがらかる事があります、湯治場は一体親類|殖《ふや》しの処で、貴方は東京は何方《どちら》で、何か訳があるのでしょう、えゝ秘《かく》したっていけません、何《ど》んな山の中でも思う人と添うならばと云う、これは当り前で、吾妻川で布などを晒《さら》して、合間に鯉こくの骨を取って種々な事をなさるんでしょう」
女「そんな訳で来たのではございません」
由[#「由」は底本では「女」]「どう云う訳で」
幸「止しねえよ…貴方お屋敷だねえ」
女「はい誠に不粋者《ぶいきもの》でございます」

        四十一

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