い嬢さんだが、どう云う訳で山の中へ来て居ると云うのでね、旦那が大変心配ですが、貴方は東京ですね」
女「はい東京でございます」
由「どういう訳で」
女「はい、いえなにもう種々《いろ/\》深い訳があります」
由「へえ、こりゃアどうも深い訳があるに違いないのでしょう、どうも此の鯉の鱗《こけ》ばかりを煮て出すなんてえのは恐れ入りました、不思議で、どういう訳で、えゝ」
女「なにもう種々」
由「そこをお聞き申したいので、姉さん困りましたねえ」
幸「これは真《ほん》の心ばかりです」
由「旦那がこれを」
女「誠に恐入ります」
由「構わずお仕舞なさい、落すといけませんから、仕舞い悪《にく》いものですが帯の間へ……宜しい私が挟んで上げましょう」
女「いえ、いけません」
由「どうも恐入った、手を付けて帯の間へヒョイと云う、これは遣りたがるからねえ、ヘエー、どうも有難い」
幸「姉さん東京は何処、私共も東京で」
女「はい、東京のお方と見ますと誠にお懐かしくって、つい何うもお座敷へ参りましても、東京のお方だと、種々御様子を承わりとうございますから、遂々《つい/\》長く居ります」
由「こりゃアそうでげしょう、伊香保
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