けませんから、後から参ると云うので、病身で時々癪が発《おこ》ると云うが、その持病を癒そう為に伊香保へ来て居たのだが、貴方に一寸《ちょっと》岡惚れでしょう、彼《あ》の新造《しんぞう》がサ」
幸「止しねえ」
由「そこは僕が心得て居ますよちゃんと認めを付けて居ます、貴方の傍《そば》に……居ると気分がいゝので、貴方のお顔を見るとお癪も紛れて居るので、くよ/\と思うが病の根で、病気だから何うかお邪魔ながらお連れ申したいと云う忠義の心から、堅い女中だけれども側に連れて来たい念が一杯あるから来ますよ」
幸「悪いよ」
由「悪いたって構やアしません、あれが来て今の別嬪が来て落合ったら面白うございましょう、だが御亭主《ごてえし》が無ければ町人だって身分が宜ければ縁付《かたづ》くという、其処は又相談ずくでねえ、もし奥様が貴方の処へ嫁に来ると云ったら何うなさるえ、それとも鯉こくを持って来る女が好うがすか」
幸「ウヽ、そんな事を云っても分りゃアしねえよ」
由「分らないたって向うが奥様で此方《こっち》は丁度|権《ごん》の方《かた》で」
幸「止しねえよ、詰らねえ事を云って、まア湯へ這入って寝ようと云うのだが、腹が北
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