ます、是非戴きます、貴方のなら何でも戴きます、何がございます」
女「はい、鳥と鰌鍋ができますので」
由「それもよし」
女「玉子焼」
由「それもよし」
女「鯉こくもございます」
由「それも」
幸「其様《そんな》に誂えてどうする」
由「まア誂えやアしませんがねえ……何か外に肴が出来ますか」
女「アノ鰥《やまめ》が出来ます」
由「寡婦《やもめ》、それは有難い、やもめ[#「やもめ」に傍点]の好《よ》いのはないかと心掛けて居《い》るので」
幸「お前の隣のは寡婦じゃアねえか」
由「ありゃア西洋洗濯を此の頃覚えた六十八歳という寡婦の大博士、毛が生えて天上する、ありゃアいけません……」
幸「じゃアお前さん後《あと》でその鰥を持って来ておくれ」
女「へえ誠に有難うございます……」
と云いながら静かに障子をしめて出て往《ゆ》く。
由「旦那何でしょう、どうもお辞儀の丁寧だってえないねえ、様子がずっとどうも、あのお辞儀の仕方は此方《こっち》が自然《ひとりで》に頭が下《さが》るくらいで、丁寧で、何でしょう」
幸「何だか知れねえが只者じゃアねえ」
由「山の中へ逃げて来たのでげしょう」
幸「何か仔細がある事だろう
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