ますから、若《も》し又お帰りの時お邪魔なら私が方へ引《ひけ》を立って取りますから」
由「幾らに取るえ」
女「左様《そう》でがんす、一つまア七厘|宛《ずつ》に取りやす」
由「じゃアまア買って置きますよ……七厘ばかり取ってお前の方へ売っても詰らねえから……申し旦那、これを買って東京へ土産に持って帰って、是は四万の名物|首痛枕《くびいたまくら》とか何とか云って提げて行《ゆ》くのは洒落です」
 とこれから酒を飲み御膳を食べにかゝる。其のうち又由兵衞がおしゃべりをして居ると、しとやかに障子を明けて、
女「御免なさい、私は鈴木屋でございます」
由「鈴木屋さんか、先刻《さっき》から」
 と見ると前の女とは大違い、年の頃は廿一二でございましょう、色のくっきりと白い、品の好《い》い愛敬のあります、何うして此様《こん》な山の中に斯ういう美人が住《すま》うかと思うくらいで、左様《そん》な処へ参ると又尚更目に付きますから二人とも見惚《みと》れて居ります。
女「お通《かよい》をこれへ置きますから、若しも御用がございますなら仰しゃり付けて下さいまし、度々《たび/\》出ますでございますから」
由「へえ宜しゅうござい
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