ねえ、馬《むま》の上へ積《えっ》けていくから、彼処《あすこ》で貴方《あんた》買わねえでねえ己が持って来て上げやんすからねえ」
幸「そりゃアどうも御親切に馬方《むまかた》さん何分願います、どうも感心なもので、是は少しだがお茶代だよ」
馬「へえ、これは有難うがんす……」
由「もし旦那……内儀《かみさん》でしょうが、結髪《すきあげ》に手織木綿の単衣《ひとえもの》に、前掛細帯でげすが、一寸《ちょっと》品の好《よ》い女で……貴方《あなた》彼処《あすこ》に糸をくって、こんな事をして居るのは女房の妹でしょう、好く肖《に》て居る、鼻が高くって眼がクッキリとして、眉毛が濃くって好い女です、斯ういう処に燻《くすぶ》らして置くからいけねえが、これが東京の水で洗って垢《あか》が抜けた時分に、南部の藍万《あいまん》の袷《あわせ》を着せて、黒の唐繻子《とうじゅす》の帯を締めて、黒縮緬の羽織なら何処へ出しても立派な奥さん、また商人《あきんど》の内儀にも好し、権妻《てかけ》にも、新造だって西洋げんぶく大丸髷《おおまるまげ》でも好し、束髪《そくはつ》にして薔薇の簪《かんざし》でも挿さしたらお嬢さま然としたものです、何し
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