ろ此の山の中に居て冷飯《ひやめし》を喫《く》って、中の条のお祭に滝縞の単物《ひとえもの》に、唐天鵞絨《とうびろうど》の半襟に、袂《たもと》に仕付《しつけ》の掛った着物で、縮緬呉絽《ちりめんごろ》の赤褌《あかゆまき》で伊香保の今坂見たように白く粉《こ》のふいた顔で、ポン/\跣足《はだし》で歩いて居てはいけませんが、洗い上げるとよっぽど好い」
幸「悪口《わるくち》をきゝなさんな」
由「そうですが、妙なもので、山の中にも斯ういう別嬪があるのでございますからねえ」
馬「へえ、身支度が出来ました」
由「おゝ来た/\、馬方さんいゝかえ」
馬「さア乗《のっ》かってくんなせえ、山道だから荷鞍へ確《しっ》かりとつらまって、えゝかえ」
 と是れからまた馬《むま》に乗り、駕籠を先に立たせ馬も続き、關善平《せきぜんぺい》方へ着きました。

        三十六

 幸三郎と由兵衞が關善の玄関に着くと、皆迎いに出ます。昨年|私《わたくし》が堀越團洲子《ほりこしだんしゅうし》とともに或る御大臣様お供で關善へ参りましたが、只今では三階造りの結構な新築でございますが、その以前は帳場より西の方が玄関でございまして、此
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