何しろ旨い、貴方《あんた》駕籠の上の葡萄酒を下《おろ》しましょうか、まア此方《こっち》を飲《や》って御覧なさい、話の種で丹誠なもので、此の徳利の太さ、私が握るに骨が折れるが女中は苦もなく掴《つか》む、感心で、どうもこれは不思議で、表に馬《うま》が一杯というのは面白い、それで中はお客が只《たっ》た二人、閑静なことじゃアございませんかね……女中さん、これは驚くねえ人参が牛蒡に成りますくらい蠅がたかります、玉子焼へ群《たか》ると豆腐入が今度は胡摩入り豆腐に成ります、何うも宜うがす」
その内に、
幸「女中さんお膳をさげて勘定しておくれよ」
由「女中さん勘定、いゝかえ……旦那あんたは駕籠で私が馬で、ぶら/\お出かけは何うです、先刻|後《あと》の伊勢町という処《とこ》に二三軒|女郎屋《じょうろや》があって、いやな島田に結って、鬢《びん》のほつれ毛を掻いて、色の白いような青いような、眼の大きな、一寸《ちょっと》見ると若いようだが年を取って居りますぜ、三十二三には見えたが……女中さん伊勢町には女郎屋が何軒あるえ」
女「えゝ御座《ごぜ》えやす、もと達磨でがんす」
由「あれは二軒切りかえ」
女「へえ只一
前へ
次へ
全281ページ中118ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング