《ひど》いじゃアございませんか、ハッ/\ハッとたちますとまた直ぐに来ます、大変《ていへん》だ」
幸「大変《ていへん》だねえ、蠅の中へ大きなものが飛込んで来るが、なんだい姉《ねえ》さん」
女「あれは虻《あぶ》でねえ」
幸「虻……大層《てえそう》居るぜ、螫《さゝ》れると血が出ますからねえ……女中さん何かあるかえ」
女「左様《そう》でがんす、何も無《ね》えでがんすけれども、玉子焼に鰌汁《どじょうじる》に、それに蒸松魚《なまり》の餡掛《あんかけ》が出来やす」
由「えゝ鰌や蒸松魚のプーンと来るのア困ります、矢張無事に玉子焼が宜うがす……鰌のお汁それは宜かろう、鰌のお汁に玉子焼で……貴方召上らぬが一猪口《いっちょこ》酒をつけて持って来て……アハヽ一猪口が分らねえな可笑しい……尤も千万だ……何しろね若衆《わかいし》が来て居るからお飯《まんま》喫《た》べさせて、お酒を飲ましておくれ、若衆は是から山道へ掛るから、酔うとまたいけねえから気を付けて」
女「ヒエー畏《かしこま》りました」
由「閑静でげすねえ……あんたが駕籠で、私《わし》が歩くのでお話もできませんが、あの村上山の景色はありませんねえ、どうも山が
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