誂《あつら》えて置いたから山駕籠が一挺来ましたから、是へ幸三郎が乗り、衣類の這入った大きな鞄が駕籠の上に付き、手提《てさげ》が前に付きまして、其の他《た》葡萄酒の壜《びん》が這入り、又東京から持って参った風月堂《ふうげつどう》の菓子なども這入り、すっぱり支度をして四万の温泉場へ参る事になりました。岡村由兵衞は昔風でございますから、一寸《ちょっと》致したくすんだ縞の浴衣に、小紋のこっくりと致した山無《やまなし》の脚絆に紺足袋、麻裏草履に蝙蝠傘をさして鞄を提げて駕籠の側につきまして、これから出まして、後《あと》の事は車夫《くるまひき》の峰松に残らず頼みましたから、
峯「万事心得ました、遅くも参ります、由兵衞さん旦那を何分宜しゅうお願い申します」
由「よろしい、頼む」
と是から出ましたが、前《ぜん》申上げて置きました隣座敷のお藤という別嬪は、お附の女中岩と峰松が供をして、一緒に出るも極りが悪いから、後《あと》から出る約束に成って居ります。
三十三
橋本幸三郎、岡村由兵衞の両人は伊香保を下《お》りまして、御案内の湯中子村《ゆなかごむら》へ出ます。彼《あ》れから岡崎新田《
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