から又坂ア下って又登って向山まで往《い》く間《ま》にゃア向うの奴は逃げて仕舞うから打《ぶた》れ損で、此の体に創《きず》を出来《でか》したら貴方其の創を癒す事は出来ねえだろうが、先方で打《う》ちやアがったから己が打返《ぶちけえ》したので、謂《い》わばあんたの代りだ」
警「代りという事があるか、全く先方《せんぽう》から先に手出しをした証拠があるか」
市「ナニ……」
警「先方から先に手出しをした証《しょう》があるか」
市「えゝ、すりア有りやんす、此処に居る重吉という者、主人《あるじ》が居りやせんからソノ番頭役を致しやす、此の人が証拠だ、のう出來助《でくすけ》どん」
警「出來助……其の方か」
重「へえ、それはヘエ私が申します、乱暴をして、毎日/\お酒を飲《た》べて無闇に皿小鉢を抛《なげう》って打《ぶ》ったりして、殊に私の頭を二つ打ったので、へえ、見兼ねて此の親方が仲へ這入って下すったので、二言三言云いやってねえ…親方に打って掛ったねえ、証拠は親方の頭に少々ソノ創がございます、へえ」
市「ねえ此の人が証拠で、神様から貰った私《わし》が身体を打《ぶ》ったから打返《ぶちかえ》しただ、ねえ、だから貴方
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