でしょう」
警「いや其の方の住んで居《お》る所は何と申す」
市「私《わし》の居《い》る処《とこ》か、私の居る処は吾妻郡の市城村で」
警「其の方は姓名は何と申すか」
市「姓名てえ何か」
警「其の方の名」
市「己《おら》ア名か、己ア市四郎と云います」
警「営業は何か」
市「えゝ」
警「営業」
市「なに」
警「分らん奴じゃ、ウーン営業を知らんてえ事があるか」
市「知りません、其様《そん》な事どうして、只の字せえ知らねえで習わねえに英語なぞ何《な》に知る訳がねえ、それは外国人《げえこくじん》のいうことだ」
警「英語ではない、営業というは其の方の渡世《なりわい》商売じゃ」
市「商売《しょうべえ》か商売は市四郎てえ筏乗でがんす」
警「何故《なにゆえ》あって向山へ今日《こんにち》参ったか」
市「何をたって連藏さんとは心安い者《もん》で、茸《きのこ》を些《ちっ》とばかり採ったから商売の種に遣りてえと思って持って来て、縁側で一服|喫《や》って居ると、向うの離座敷で暴れ廻る客があるだ、若い衆を擲《なぐ》っていけえこともねえ皿を打壊《ぶちこわ》したりして見兼ねたから、仲へ這入《へえ》って何故《なぜ》此様《こ
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