》りませんよ」
巡「参らぬと云う事があるものか」
と分らぬ奴もあるもので、田舎育ちでも今は開けましたが、其の頃は無学文盲の無法者がありまして、強情を張ってお困りでございますが、これを丹誠して引張《ひっぱ》って行《ゆ》く、実に御難儀なお役で。
巡「参れ/\」
と手を捉《と》って引こうとしたが大力無双の市四郎が少しも動かず、引く途端に官棒でお打ちなすったのではありませんが、グッと引く機《はず》みに市四郎の手先へ棒が当ると、市四郎が怒《おこ》って、
市「や私《わし》を打《ぶ》ったな、貴方《あんた》なんで打った、無暗《むやみ》に打って済むか、お役人が人民《ひと》を打殴《ぶんなぐ》って済むか、貴方では分らねえから、もっと鼻の下に髯の沢山《たんと》生えた方にお目にかゝり、掛合いいたしやす、さア一緒に行《い》きましょう」
と反対《あべこべ》に巡査さんの手を捉って向山の坂を下りましたが、世の中には理不尽な奴もあれば有るもので、是からお調べに相成ります。
三十一
さて引続きまする伊香保の湯煙のお話でございます。向山の玉兎庵で五長太という士族を谷へ投込みました者は、大力無双の筏
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