打擲したのだろうから隠さず云え」
市「隠すも何もねえ、此処な家《うち》へ来て芸妓《げいしゃ》が来《き》ねえって皿小鉢を投《ほう》って暴れるので、仕方がねえから、私《わし》用があって此家《こけ》え来て居りやんしたが、見兼て仲へ這入った処が、私《わし》胸倉ア捉《と》るから、仲人《ちゅうにん》だと云うのに聞入れず私を打ちに掛ったから、まご/\すると打たれるから引外《ひっぱず》したら蹌《よろ》けたので」
巡「また左様《そう》云う悪い者があったら手込《てごみ》に谷川へ打込む事はならぬ、すぐ派出も在《あ》るものじゃから訴えなければならんに、手込《てごめ》にする事はない、なぜ届け出《いで》んのじゃ」
市「だって此の谷を下りて、貴方《あんた》の方へ訴えて此処《こけ》え来る時分には逃げてしまうから、打たれ損にならねえ先に、貴方だって間に合いませんから、私《わし》は貴方の代りに打殴《ぶちなぐ》って、谷へ投り込んだので、早く云えば貴方の代りにしたので、大きに御苦労ぐれえ仰しゃっても宜かろうと思いやんす」
巡「えゝ、僕を愚弄致すか」
市「愚弄てえ何か」
巡「えゝ分らぬチュウものじゃ、まア参れよ」
市「参《まい
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