と養蚕が盛《さかん》に成りましたが、是は日本《にっぽん》第一の鴻益《こうえき》で、茶と生糸の毎年《まいねん》の産額は実に夥《おびたゞ》しい事でございます。外国人も大して之を買入れまする事で、現に昨年などは、外国へ二千万円から輸出したと云いますが、追々|御《ご》勉強でございまして、あの辺は山を開墾してだん/″\に桑畑にいたします。それにまた蚕卵紙《たねがみ》を蚕《かいこ》に仕立てます故、丹精はなか/\容易なものでは有りませんが、此の程は大分《だいぶ》養蚕が盛で、田舎は賑やかでございます。養蚕を余り致しません処《ところ》は足利《あしかゞ》の方でございます。此処《こゝ》はまた機場《はたば》でございまして、重《おも》に織物ばかり致します。高機《たかはた》を並べまして、機織女の五十人も百人も居りまして、並んで機を織って居ります。機織女は何程位《どのくらい》な賃銀を取るものだと聞いて見ると、実に僅かな賃でございます。機織女を抱えますのに二種有ります。一《いつ》を反織《たんおり》と云い、一を年季と申します。反織の方は織賃銀何円に付いて何反《なんだん》織ると云う約定で、凡《すべ》て其の織る人の熟不熟、
前へ 次へ
全281ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング