汰をして極りがわるくって、何《な》んだか何《ど》うもね……先刻《さっき》藤助どんにも然《そ》う申しやしたんですが、余《あんま》り御無沙汰になったんで、お見違《みそ》れ申すくれえでごぜえやすが、何時《いつ》も御繁昌のことは蔭ながら聞いておりやす、誠に何んとも何うもお忙がしい中をわざ/\お知らせ下すって誠に有難うござえやす……お久ア此処《こゝ》に打《ぶ》ッ坐《つわ》ってゝ、宅《うち》の者《もん》に心配《しんぺえ》を掛けて本当に困るじゃアねえか、阿母《おっか》アはお前《めえ》を探しに一の鳥居まで往ったぜ、親の心配は一通りじゃアねえ、年頃の娘がぴょこ/\出歩いちゃアいけねえぜ、何んで此方様《こちらさま》へ来てえるんだ、こういう御商売柄《ごしょうべえがら》の中へ」
 内儀「それ処《どこ》じゃアないよ、こうしてお前の事を心配して来たのだ、這入りにくがって門口をうろ/\していたが、切羽詰りになって這入って来たんだが、私も忘れちまったあね、お前が仕事に来る時分、蝶々髷《ちょう/\まげ》に結ってお弁当を持って来たっきり、久しく会わないから、私も忘れてしまったが、此処《こゝ》へ来て、此の娘がおい/\泣いて
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