》は余《あんま》り御無沙汰になって敷居が鴨居で往《い》かれねえから、何《いず》れ春永《はるなが》に往きます、暮《くれ》の内は少々へま[#「へま」に傍点]になってゝ往かれねえから何れ…」
 藤「兎や角《こ》う仰しゃるだろうが、直にお連れ申して来いと、お内儀さんが仰しゃるので」
 長「直にったって大騒ぎなんで、家内《うち》に少し取込《とりこみ》があるんで、年頃の一人娘のあまっちょが今朝出たっきり帰《けえ》らねえので、内の女房《やつ》も心配《しんぺえ》してえるんでね」
 藤「お宅《うち》の姉《ねえ》さんのお久さんは宅へ来ておいでなさいますよ、其の事に就《つ》いてお内儀さんが貴方《あなた》に御相談があるので」
 長「エヽ…お久がお前《めん》処《とこ》に往ってるとえ」
 かね「あらまア本当に有難う存じます、何処《どこ》へ参りましたかと存じて心配して居ましたが、御親切に有難う存じます…お前さん直《すぐ》に往って連れて来ておくれよ」
 長「じゃアまアなんだ……直に後《あと》から往きますからお内儀さんへ宜しく」
 藤「直に御同道しろと申しましたから」
 長「直にったって何《な》んですから、直《じき》に
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