の着物なんぞを着てさ、見っともないじゃアないか」
長「見っともねえったって、竹ン処《とこ》のみい坊の半纏《はんてん》を借りて来たんだ」
かね「お尻がまるで出て居るよ、子供の半纒なぞを着て、好《い》い気になって戸外《おもて》をノソ/\歩いてゝさ」
とグズ/\云って居ると、表の戸をトン/\叩き、
男「御免ください」
かね「はい只今開けます……誰か来たよ、お前隠れ場が……仕様がないねえ」
男「どうか開けておくんなさい、御免なさいまし……えゝ誠に暫《しばら》く、何時《いつ》もお達者で」
長「へえ…誰だっけ忘れちまった、何方《どなた》でしたかえ」
男「エヽ私は角海老《かどえび》の藤助《とうすけ》でございます」
と云われて長兵衞は手を打ち、
長「おう、違《ちげ》えねえ、こりゃアどうも、すっかり忘れちまッた、カラどうも大御無沙汰になっちまって体裁《きまり》が悪いんでね、こんな処《とけ》え来てしまったんで、誠にどうもツイ…」
藤「お内儀《かみ》さんが、一寸《ちょっと》長兵衞さんに御相談申したい事があるから、直《すぐ》に一緒に来るようにという事で」
長「お前《めえ》さんの処《とこ
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